専門用語:「オスは数、メスは質」
──進化生物学者R.トリヴァースが初めて指摘した、もっとも重要な性淘汰ロジック。多くの種においてオスとメスでは生殖戦略(”自分たちの資源と努力を次世代に注ぎ込むやり方”)が異なる。それは、卵をつくるメスはうまく産み育てることのできる子供の数を生物学的なリソース上の限りから制約されているが、精子というほとんど限りなく生産できる「 DNAコード」をメスに手渡すだけでコトがすむオスはそういった制約を受けないためだ。
:したがって、メスの生殖戦略は「交尾相手の質を吟味すること」にテーマが置かれ、自らの手厚い繁殖努力を無に帰してしまわないような、生存力と生殖力を備えた「質」の高い子供を産みたがる。
一方のオスの生殖戦略は「できる限りたくさんのメスに受胎させること」にテーマが置かれる。それはたった一匹のメスとだけつがうオスよりも、多くのメスとつがえるオスの方が(生物界において、通常は)多くの子供を残すからであり、結果的にそういった遺伝子が種内で広まるからだ。