その他心理

サピエンスが”ルール”,”モラル”を作る理由~一夫一妻制はなぜ生まれたか~

社会という逸脱者の”排除”措置──"乱暴な行為が「社会的に逸脱している」というレッテルを貼られ、表現型のレベルでかなり徹底的に抑え込まれたら、利他的な傾向を持っていてただ乗り(フリーライド)の被害に遭いやすいタイプの人間は、はるかに活発に活動できるようになる。─ *C.Bohem

──乱暴者になろうとする人間や実際の乱暴者が得られる利益を無くすうえで、そうしたタイプの人間を“社会”が検知するのは難しくはない。そうしたタイプの人間が“良心”で自分を抑えられないとしたら、押さえつけるのに必要なのは「彼を思い通りにはさせない」という集団メンバーに共有された固い決意だ

「マトモな男なら異性を誰かしら獲得できる」という状況は、良くも悪くも石器時代のご先祖たちが生殖闘争(マルチレベル淘汰)の結果として平等な群れシステムを築き、「男1匹につき女1匹まで」というルールを確立させた事による。これはモテる

  • オスの精子が欲しいメスの権利
  • メスに種付けしまくれるアルファオスの権利

を社会的に制圧したものだ

──集団のメンバーは団結してフリーライダーである乱暴者のアルファ男に逆らい、それでも彼が「わからなければ」、きわめて平等主義的な集団は次の段階として、彼を見捨てるか、追放するか、最後の手段として「殺す」ことになる。(『モラルの始まり──徳、利他主義、恥の進化』)*C.Bohem 2012

驚くべきことに、社会的なマナーや常識とはそもそも太古のヒトの群れ(石器時代の部族社会)において「ズレてる奴」を迫害して除け者にするというまったく非道徳な流れの中で発生したものだ。そういう淘汰圧によってヒトに進化的に備わった“怯え”を利用して利益を得る輩は、いつの時代にも存在する。